翻訳コーディネーターの◯◯さん、ホントだらしなくて困るなぁ。
もっとしっかりしてくれないと他の仕事にも影響が出るから勘弁してほしい・・。
こんな風に翻訳コーディネーターの対応に悩まされたことはありませんか?
ぼくは翻訳コーディネーターとして10年勤務しました。
その中でたくさんの翻訳者さんとお仕事をさせていただきましたが、同時にたくさんの翻訳コーディネーターも見てきました。
中には「この人ほんとすごいなぁ・・。とてもかなわない。」というスーパーコーディネーターもいますが、一方で困ったコーディネーターがいるのも事実です・・。
そこで今回は、これまでチームの管理者として新人の育成や問題のあるコーディネーターへの指導も行ってきた経験から「こんな翻訳コーディネーターには注意が必要!」という特徴をまとめました。
もしいまお付き合いのある翻訳会社の中に、これらの特徴に該当するコーディネーターがいるという方は、その対処法についても記載していますのでぜひ参考になさってください。
この記事を読むとこんなことがわかります。
- 注意が必要な「危ない翻訳コーディネーター」の特徴
- 危ない翻訳コーディネーターの対処法
くん太
- 北海道から上京し、都内某翻訳会社で翻訳コーディネーターとして10年勤務
- 現在は脱社畜してwebライターとして活動中
通りすがりのウシ
- たまに通りがかっては何かとツッコミをいれてくる
- 普段は牧場でのんびり草を食べている
危ない翻訳コーディネーターの特徴8選
危ない翻訳コーディネーターは、「問題に気づいていないだけで、注意したら改善する場合」と「その人の根っからの性質のため何度いっても改善しない場合」があります。
もちろん翻訳会社も放っておいているわけではなく、繰り返し指導をしたり、さまざまな対策がとられます。
そういったコーディネーターはやはりトラブルを起こすことが多く、翻訳者さんからお叱りの声をいただくこともあります。
具体的には、下記のような特徴が見られる翻訳コーディネーターは注意が必要です。
▲気になる箇所にジャンプできます。
発注書を送ってこない
発注書を送付せずに作業を開始させようとしてくる翻訳コーディネーターには注意が必要です。
契約形態にもよりますが、僕の所属する翻訳会社では翻訳依頼のご相談をして承諾していただいた場合、作業開始前に発注金額や納期など諸条件を記載した「発注書」を送付します。
この発注書の送付をもって正式に契約が成立となります。
そのため「あとで発注書を送るから先に作業を進めておいてください」というのはNGです。
発注書が送られてきていない状態で翻訳者さんが作業を開始してしまい、もし案件がキャンセルになったら、最悪の場合「契約成立前」ということでお支払いできない場合があるからです。
翻訳コーディネーターは業務が立て込んでいると、つい発注書の発行を後回しにして「先に作業を進めておいてください」とルールを破ってしまう人がいます。
そしてだらしないコーディネーターはこれが常習化しています。
すぐに発注書を発行しないと、あとで発行し忘れてしまい、結果的に翻訳者さんにお支払いがされないという事態が発生してしまいます。
納期の都合やシステムのトラブルなどでやむを得ず作業を開始する場合は、発注書が未発行であることを必ずご自身でも管理しておきましょう。
あとになっても送付されてこない場合は必ず催促してください。
これやったことある?
あの・・忙しい時にやっちゃったことはあります・・。
すみませんでした・・。
受注後に条件を変更してくる
クライアントからの要望や翻訳コーディネーターの指示ミスなどで、翻訳者さんへの依頼後に依頼条件を変更させてもらう場合があります。
- 納期を1日早めてほしい
- 追加で400文字ほど翻訳してほしい
- 参考資料を入手したのでこれに合わせてほしい
など
基本的には「打診時の条件」で納期や金額に合意しているはずなので、その後の条件変更はNGです。
もし条件が変更になる場合は、それは新たな打診(相談)ということで対応の可否などを翻訳者さんに改めて検討してもらうことになります。
しかし翻訳コーディネーターの中には当然のように「変更になったのでこの条件でお願いします」と連絡してしまう人がいます。
もし条件の変更により納期に影響が出たり、追加料金が発生する(請求する)場合はその旨をハッキリと伝えるようにしましょう。
やったことある?
いや、これはほんとに気を遣っていたポイントなので大丈夫っす。
たぶん。
追加作業費用を払わない
さきほどの「依頼後に条件を変更してくる」につながりますが、例えば「追加で400文字翻訳してください」という要望があった場合は当然追加料金が発生します。
この追加料金について「言及しない」、「お支払しない」という翻訳コーディネーターは要注意です。
こうしたことにだらしないコーディネーターだと、しっかりと管理が出来ておらず、お支払がうやむやになってしまったり、金額が正しくない場合があります。
翻訳者さんは追加作業分も含め、作業した分は自分でもしっかり管理するようにしましょう。
そんなコーディネーターいる?
過去10年の中にはそういうだらしない翻訳コーディネーターもいました。大きなトラブルになったりして、大変だったなぁ・・。
翻訳以外の作業を無償でやらせようとする
これも契約形態によるところかもしれませんが、少なくとも僕の所属している会社では翻訳者さんに「翻訳以外の作業」をやらせることはNGとしています。
例えばこんな作業です。
- 翻訳後のレイアウト調整
- 編集作業(参考資料に合わせて訳文の構成を編集するなど)
- 用語集への用語登録 など
どうしても依頼する場合はご相談の上、別途作業料をお支払いします。
ただ、翻訳コーディネーターの中にはこういった作業を翻訳作業に含めてさらっと依頼してしまう人がいます。
翻訳作業以外の作業については、別途費用や納期の延長などを必要に応じて必ず請求するようにしましょう。
やったことあるんか?
いえ、ないと思います・・。
たぶん。
慣れてきた新人
新人にはベテランの翻訳コーディネーターがOJTとしてピッタリついているので、あまり変なトラブルは起こりません。
しかし慣れてくるとOJT担当者もある程度新人に任せるようになります。
ベテランの手から離れるこの時期はちょっと注意が必要です。
納期の設定が無茶だったり、発注書の内容が日→英と英→日で反対になっていたり、大事な指示事項が漏れていたりといろいろやらかします。
翻訳者さんからするとそのコーディネーターが新人かどうか分かりづらいかもしれませんが、明らかに新人とわかる場合はしばらくの間は油断せず、注意していただければと思います。
いやいや、新人だからって間違いは困るよぉ。
おっしゃる通りです…。しっかり教育いたします…。
時間を守らない
翻訳コーディネーターに必須である時間厳守が出来ていない場合は要注意です。
「◯月◯日の◯時までに原稿を送ります」
「◯◯時までに発注書を送ります」
など、約束された時間を守ってもらえないと翻訳作業の開始が送れてしまい、翻訳者さんの作業時間が圧迫されてしまいます。
通常、どうしても都合で遅れてしまう場合は事前に連絡をいたします。
しかし事前連絡もなしに、たとえ1分でも約束の時間に遅れるコーディネーターはこの辺りの意識が弱く、常習化している可能性があります。
時間は守れよ。
あ、はい、気を付けます!
配慮が足りない
毎回ムチャな依頼をしてくるなど、翻訳者さんへの配慮が足りない翻訳コーディネーターは注意が必要です。
ただしこれはクライアントの要望である場合もあります。
毎回ムチャなことを言ってくるクライアントを抱えている可能性が考えられます。
とはいえ、
- 提示された納期が明らかにムチャ
- 翻訳者さんの睡眠時間や休憩時間を考慮していない
- 作業負荷の高い依頼なのに納期設定や支払金額に配慮がない
このように配慮に欠ける翻訳コーディネーターには今後も苦労をさせられる可能性が高いです。
指摘しても改善しない場合は、翻訳会社に報告して担当を変えてもらうなど対応が必要かもしれません。
全然指示がない、足りない
必要な指示事項が全然足りない翻訳コーディネーターも注意が必要です。
しっかりとした指示をもらえないと下記のような問題が生じます。
- 作業の途中で確認事項が出てきて、作業が途中で止まってしまう
- 不要なやり直し作業が発生してしまう
- 納品後にクライアントからクレームが発生する
翻訳コーディネーターの指示漏れは以下のようなパターンがあります。
- クライアントからの指示をよく見ていなかった
- クライアントからの指示は把握していたが翻訳者に伝え忘れた
- クライアントからの指示を正しく理解せずに誤って伝えてしまった など
人間誰しも間違いはしてしまうものですが、何度も同じようなミスをしているコーディネーターは危険です。
翻訳者さん自身でも最低限の必要事項を確認し、不要な二度手間作業が発生するリスクを防ぎましょう。
翻訳コーディネーターの対応に不満がある時の対処法
翻訳者さんにとっては、翻訳コーディネーターに抗議をすると依頼がなくなってしまうのでは?と心配して、我慢されているかたもいるかもしれません。
しかしそのままでは他のお仕事などにも影響してしまう可能性があるので、程度によっては対応が必要です。
困った翻訳コーディネーターに当たってしまった場合の対処法について紹介いたします。
▲気になる箇所にジャンプできます。
翻訳コーディネーターに指摘する
まずは問題のある翻訳コーディネーターに問題点を指摘しましょう。
なるべく熱くならずに、端的に問題点を指摘し改善を要求してください。
お電話だと証跡が残らないのでメールで指摘することをおすすめします。
案外、指摘することで問題点に気づき改善してくれる場合が多いと思います。
僕自身過去に翻訳者さんに指摘されたことは何度もあり、都度深く反省し対策を講じて改善してきました。
しかしこうした指摘でも改善しない、誠実な反応を得られない場合は次の手段です。
上司やチームリーダーなどに連絡する
問題のコーディネーターの直接の上司やチームリーダーなどの「管理者」がわかっている場合は、問題が起こっていることを連絡し、上司から指導をしてもらいましょう。
僕自身、翻訳者さんから同じチームメンバーの対応についてこのような形で報告いただいたことがあります。
問題が起こっているやりとりの中で、途中からCCに追加されたこともありました。
しかしこれは人によっては、突然上司に問題を暴露されたことに強い不快感を覚えることもあるようなので注意が必要です。
翻訳者さんからこのようなご連絡をいただくことは、翻訳会社としても深刻な問題です。
なぜ問題が起こったのかの調査や、対策の構築など、解決に向けて動いてくれるはずです。
不満がたまっていたとしてもあまり熱くなりすぎないようにしましょう。
たとえあなたが正論だったとしても「◯◯さんは対応に注意が必要」などと思われてしまっては損です。
冷静に、端的に連絡するのがポイントです。
管理部署に相談する
問題の翻訳コーディネーターの上司が誰だかわからない場合は、翻訳会社の品質管理部などの管理部署に相談しましょう。
この方法でも、管理部署→問題コーディネーターの上司→問題コーディネーターというルートで本人に伝わり、問題の解決に向けて動くことになります。
問題のコーディネーターやその上司にすれば、管理部署からの指導ということでインパクトはかなり強めです。
まとめ
注意が必要な危険コーディネーターの特徴は下記の通り。
- 発注書を送ってこない
- 受注後に条件を変更してくる
- 追加作業費用を払わない
- 翻訳以外の作業を無償でやらせようとする
- 慣れてきた新人
- 時間を守らない
- 配慮が足りない
- 全然指示がない、足りない
いろいろこんなコーディネーターに気をつけろと書きながら「自分のクビを締めそ〜!」と途中で怖くなりましたが、やはり仕事はお互い気持ちよくやりたいですよね。
相手を配慮しながら気配りのできる翻訳コーディネーターでいられるように日々自分も注意して行こうと思います。
参考になりましたら幸いです。
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