プロの翻訳者として仕事を受注するために避けて通れないのが「翻訳トライアル」。
翻訳者はこの試験に合格しないとその翻訳会社から仕事をもらうことはできません。
とはいえ、初めてトライアルを受ける場合は勝手がわからず不安ですよね。
- いったいどんな試験なの?
- どの程度の翻訳レベルが必要なの?
- トライアルの注意点は?
そこで今回は翻訳トライアルについて、その流れや注意点、トライアル応募先の探し方などを詳しく解説していきます。
この記事を読むとこんなことがわかります。
- 翻訳トライアルに求められるスキル
- 翻訳トライアルでチェックされるポイント
- 翻訳トライアル応募先や求人の探し方
- 応募時の注意点
くん太
- 北海道から上京し、都内某翻訳会社で翻訳コーディネーターとして10年勤務
- 現在は脱社畜してwebライターとして活動中
通りすがりのウシ
- たまに通りがかっては何かとツッコミをいれてくる
- 普段は牧場でのんびり草を食べている
翻訳トライアルとは
通常、翻訳者が翻訳会社からお仕事の依頼をいただく場合は、その翻訳会社に翻訳者として登録する必要があります。
翻訳トライアルは、登録する際に翻訳者の実力をテストするための翻訳課題です。
翻訳の基礎ができているか、専門知識があるか、即戦力として活躍できるかを見極めるための試験なので、当然ながらこれに合格しないと翻訳者として登録することはできません。
トライアル課題の内容は翻訳会社や受ける翻訳の分野によって異なります。
募集要項をよく確認し、自分が受けようとしている分野のトライアルを受けるようにしましょう。
翻訳トライアルの流れ
翻訳トライアルの一般的な流れは下記のようになります。
「どんな分野」で、「どんなスキルを持った人を募集しているのか」翻訳会社の募集要項を確認します。
募集要項に従って応募書類を提出します。
ホームページの専用フォームから応募、もしくはメールに履歴書を添付など、応募方法は企業によって異なります。
書類選考に合格すると、翻訳トライアル問題が送付されます。
提示される条件に従って、期限までに翻訳して返送します。
翻訳会社によってはこの段階で、CATツール(翻訳支援ツール)やポストエディットのトライアルを同時に行う場合もあります。
翻訳会社より応募者へ合否の通知があります。
合格した場合は登録手続きの案内があります。
登録手続きでは、単価などの条件面の調整も行われます。
翻訳会社への登録が完了となります。
場合によっては登録後しばらく発注を貰えないということもあります。
翻訳トライアルは未経験でも大丈夫?
結論から言うとトライアルは未経験者でも受けられます。
もちろん「合格できるか?」という点については実力次第です。
未経験者でも実力が翻訳会社の求めているレベルに達していれば採用される可能性は十分にあります。
ただし、募集要項を確認すると「3年以上の翻訳実務経験」など未経験者不可としているものが多いのも事実です。
まずは「未経験者可」もしくは募集要項に「実務経験必須」の記載がない翻訳会社のトライアルに挑戦しましょう。
この記事では「応募先の探し方」についても紹介しています。
今すぐ読みたい人はこちらからジャンプできます。
翻訳の実務経験がなくても、「応募分野での勤務経験」があると有利です。
例えば医薬系の分野に応募する際、製薬会社での勤務経験などがある場合はできるだけ詳しく書いてアピールするようにしましょう。
もし応募分野の勤務経験がない場合は、スクールや独学などで学習している分野についてアピールすると良いですよ!
翻訳トライアルで求められるスキル
英語力があっても「翻訳」ができるということにはなりません。
翻訳者には実にさまざまなスキルが求められます。
翻訳トライアルに合格するために求められるスキルは下記のとおりです。
▲気になる箇所にジャンプできます。
語学力
翻訳者には原文から情報を正確に読み取り、理解する力が求められます。
「正確に」「過不足なく」読み取り「わかりやすく読みやすい文章で伝える」ためには英語力だけではなく日本語力も非常に重要です。
日本人だから日本語は大丈夫なんじゃないの?
いえ、例えば和訳の場合はいかに原文に忠実に、かつ「読みやすい」文書で翻訳するかが重要です。
ソースクライアントからいただくクレームの中には「読みづらい」「直訳調で不自然」という内容が一定数あります。
英訳する場合でも、原文を正しく理解して正確に翻訳するためには日本語力は不可欠です。
専門性
翻訳会社のソースクライアントからいただく依頼では「専門性の高い文書」を扱っているため、それらを翻訳する際は文書に関する専門知識が不可欠です。
分野での専門用語なども頻出するため、背景知識がないと正しく翻訳できません。
「この専門用語には必ずこの訳語を使う」ということが厳格に決まっている場合が多く、この専門用語を外してしまうだけでクライアントからは「内容のわかっていない翻訳者」と判断されてしまうのです。
該当分野での実務経験があると原文理解がしやすくとても有利です。
リサーチ力
翻訳をする上で「リサーチ」は不可欠です。
原文の意味を「正確に伝える」ためには、自分の中にある知識に頼らず、わからないことや不確かなことは調査し、確実に裏を取るという作業が必要です。
また、Web上に数ある情報の中から正しい情報、信頼性のある情報を探し出すスキルも求められます。
このリサーチ力は翻訳の品質にも関わりますし、作業効率にも大きく影響してくるスキルです。
PCスキル
フリーランスで翻訳者として活躍するためにはPCスキルが必須です。
特に下記の3点は習得しておくようにしましょう。
① Microsoft Officeのスキル
翻訳原稿はWordファイルが大半です。
その他、ExcelやPowerPoint、PDFの原稿もあり、このあたりは分野によって変わってきます。
最近はCATツール(翻訳支援ツール)を利用して翻訳することがスタンダードになっていますが、それでも基本的なMicrosoft Officeの知識は必要です。
「Wordの修正履歴ってなに?」
「Excelの非表示行ってどこ?」
「PowerPointのノートってどれ?」
という方はしっかり勉強してからトライアルに臨みましょう。
② メールやパスワードに関するスキル
翻訳会社とのやりとりはメールがメインになります。
データはパスワードをかけてやり取りすることが多いので、
「パスワードってどうやってかけるの?」
「翻訳会社からのファイル、どうやってパスワードを解除するの?」
ということでは仕事になりません。
「パスワードの通知メールが届きません」と言われることもありますが、迷惑メールフォルダに自動で振り分けられている可能性がありますので、そういった基本的なこともおさえておきましょう。
これはまた別の話ですが、翻訳会社からファイルにかけるパスワードを指定されることもあります。
「ファイルにパスワードが正しくかかっていない」、「指定通りのパスワードになっていない」などで、翻訳会社に納品後も開くことができず大迷惑をかけてしまう場合も・・・。
そういうときに限って納品後すぐに外出してしまったりして、すぐに対応できないなんてことがあるんですよね・・・。
納品してもファイルが開けなかったら「未納品」と同じですので、パスワードをかけて納品する際は正しいパスワードをかけているか必ず確認しましょう。
③ トラブル対応のスキル
「PCが故障しました」
「ネットにつながりません」
「メールがトラブルで送付できなくなったため期限内に納品できません。」
といったご連絡を翻訳者さんからいただくことがあります。
しかし翻訳会社は翻訳者さん一人ひとりのPC環境までは管理していませんので、自分のPC周りの問題解決は自力で行っていただくしかありません。
そういったトラブルも迅速に解決できるように、問題発生時の相談先、サポートサービスなども事前に確認しておきましょう。
CATツール(翻訳支援ツール)などへの対応力
翻訳会社の翻訳依頼ではCATツール(翻訳支援ツール)や、場合によってはMT(機械翻訳)の訳文を活用するポストエディットなどの作業を求められることがあります。
とくにCATツールは導入している翻訳会社がほとんどなので、依頼もツールに対応できる翻訳者が優先されます。
最初からCATツールの使用経験が必須というわけではありませんが、指定されたツールの使い方を理解し、対応する力が求められます。
「CATツールってなに?」という方はこちらの記事をご確認ください。
目指すべき1日の翻訳量の目安
翻訳の経験が浅いとどうしても納品までに時間がかかってしまいがちです。
一般的な翻訳のスピードとして、1日にどのくらいの量を処理するの?
ここではWebで調査した結果と、翻訳コーディネーターとして10年勤務してきた僕自身の経験から「1日の処理量の目安」をご紹介いたします。
約1,500〜2,000ワード程度
2,000ワード/日だと結構早い翻訳者さんというイメージです。
約3,000〜4,000文字程度
英訳は和訳よりも処理量がやや落ちるイメージです。
これはあくまで目安です。
実際に活躍されている翻訳者さんの中にはこれより早い方もいますし、日中は企業に勤務しているので夜間や週末だけ作業する、という方でこれよりずっと処理量が少ない方もいます。
提示された納期に間に合うか、スケジューリングするためにも「自分の翻訳スピード」を把握しておくことが重要です。
翻訳トライアルでチェックされるポイント
翻訳トライアルではどんなところをチェックされるの?
翻訳会社によって多少違いはあるかもしれませんが、チェックされているポイントは大きく「スキル面」と「対応面」があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
スキル面のチェックポイント
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訳抜け・誤訳がないか
訳抜け・誤訳は大きなマイナスポイントです。
ソースクライアントからのクレームや、翻訳者へのフィードバックの内訳でも、この「訳抜け」や「誤訳」に関するものが必ずランクインしてきます。
翻訳後は必ず見直しをして、訳抜けや誤訳を防ぎましょう。マジで重要です。
「見直し作業の時間」は必ず翻訳スケジュールの中に盛り込んだ上でスケジューリングしましょう。
専門用語が正しく訳せているか
翻訳トライアルでは翻訳者の専門性やリサーチ力が試されます。
原文の中の「専門用語」をちゃんとリサーチし、正しい訳語を選択する必要があります。
翻訳トライアルであれば「専門用語を正しく訳せるか」を確認するためのトラップが仕掛けてある可能性が高いです。
専門用語に気づいて調べてみると訳語が複数存在してどれを選べば良いかわからないという場合もあります。
リサーチの手間や時間を惜しまず、正しい訳語を選択するようにしましょう。
日本語(英語)表現が自然で読みやすいか
ソース言語をターゲット言語に置き換えるだけでは意味が通じなかったり、直訳調で読みづらく、不自然な訳文になってしまいます。
翻訳では原文の意味や書き手の意図を汲み取り、それを自然で読みやすい訳文で表現する必要があります。
翻訳をしたら必ず自分で読み返してみて、読みづらい箇所はないか、自然な文章になっているか確認するようにしましょう。
「訳文を声に出して読んでみると、不自然な点に気付けることがある」ということで、翻訳スクールなどでも推奨されているようですよ。
誤字脱字、スペルミスなどのケアレスミスがないか
誤字脱字やスペルミスといったケアレスミスは、見直しやスペルチェックをすることで防げます。
急いでいるとつい見直しが雑になってしまいますが、ここは時間をかけて徹底して確実に潰すようにしましょう。
見直しは本当に大事です。
見落としを防ぐために「Wordのスペルチェック機能を活用する」「プリントアウトして見直しをする」など、工程を工夫して確実に防ぎましょう。
表記がブレていないか
同じ訳文内で表記がブレていないかという点も厳しくチェックされています。
翻訳トライアルで対応する量は少量のはずですが、実際の案件でも量が増えるほどに訳語の統一は難しくなっていきます。
記号の表記の全角・半角や固有名詞の表記(カタカナ?英語のまま?)などに加え、下記のような表記はブレやすいので注意が必要です。
- または/又は
- および/及び
- 〜できる/〜出来る
- さまざまな/様々な
- 〜ください/〜下さい
- お問い合わせ/お問合せ
- 〇か月/〇ヵ月/〇ヶ月
- 〇か所/〇ヵ所/〇ヶ所
- フォルダ/フォルダー
- モニタ/モニター
- カテゴリ/カテゴリー
- ユーザ/ユーザー
原文に忠実に翻訳されているか
翻訳の分野にもよりますが、特に「産業翻訳」では無理に意訳せずに、原文に忠実に翻訳する必要があります。
そのため下記のような点に注意が必要です。
- 原文に書かれていないことを追加しない。
- 原文に書かれていることを勝手に抜かさない。
- むやみに意訳をしない
原文の意味や書き手が伝えようとすることを汲み取り、訳文に反映する。しかし意訳は極力避ける。難しいところですよね・・。
対応面のチェックポイント
翻訳トライアルでは品質面の他に、人として信頼できるか、やりとりがスムーズかという「対応面」もチェックされています。
対応面でのチェックポイントは下記のとおりです。
▲気になる箇所にジャンプできます。
コミュニケーション能力
メールのやりとりや意思の疎通がスムーズにできるかなど、コミュニケーション能力がチェックされています。
実際の依頼時でも、翻訳者と翻訳会社は「案件の仕様確認」や「納期、単価の交渉な」ど密にコミュニケーションを取ることになります。
「意図を汲み取っていない」「指示事項がちゃんと理解されているのかわからない」といったような不安を与えてしまうとマイナスポイントになってしまうので、極力丁寧な対応を心がけましょう。
レスポンスの早さ
翻訳会社からの連絡に迅速にレスポンスがあるかというのもチェックポイントです。
翻訳会社は基本的にいつも忙しく、翻訳者にも迅速に返信を返してほしいと思っています。
連絡がくる時間帯にもよりますが、なるべく当日中、無理でも可能な限り早めにお返事を返すようにしましょう。
すぐに返事を返せない場合は「◯◯時までに確認してお返事をいたします」と一言返信するだけでだいぶ印象は変わります。
ちなみに、レスポンスの速さに関しては翻訳者だけに求められることではありません。
翻訳会社の方も、翻訳者からの問い合わせに迅速に対応してくれるか、というところはチェックしておくと良いでしょう。
翻訳会社が多忙とはいっても、問い合わせに対していつまでも返事がない翻訳会社は今後お付き合いをする上でもちょっと心配ですよね。
納期が守られているか
言うまでもありませんが、納期の順守はとても重要なポイントです。
翻訳会社に登録しているプロの翻訳者さんの中には、まれにこの「納期を守る」ということをあまり重視していない?と思われるような方がいます。
しかし「納期を守らない」人に重要な案件を依頼することはできませんよね。
翻訳が遅延すると、その後の工程(チェック作業やレイアウトの調整作業、クライアントへの納品など)すべてに多大な迷惑がかかることになります。
どうしても納期に遅れそうな場合は、発覚した時点ですぐに翻訳会社に連絡するようにしましょう。
作業指示がちゃんと守られているか
実際の翻訳依頼時にはクライアントから「用語の指定」や「参照すべき参考資料」など、翻訳に関してなにかしらの指示があることが多いです。
翻訳トライアル時にもそのような指示が出されることが考えられます。
これが守られていないと、「実際の翻訳時も指示を守ってくれない翻訳者」と判断されてしまい、大きなマイナスになってしまいます。
翻訳会社からの指示内容をよぉ〜く確認し、指示内容を順守するようにしましょう。
翻訳トライアル応募先の探し方
よし、求められているものはわかった。で、実際に応募するにはどうしたら良いの?
翻訳トライアルに応募するには、まず応募先を探します。
GoogleやYahooなどの検索サイトで「翻訳 求人」を入力するだけでも翻訳に関する求人サイトが複数ヒットしますが、ここでは王道な応募先の探し方を紹介いたします。
翻訳会社のHPから応募する
直接翻訳会社のホームページから応募するという、最も一般的な方法です。
翻訳会社は大抵そのホームページで、常時翻訳者を募集しています。
ホームページの応募フォームから、指示に従って応募してみましょう。
翻訳会社ってどうやって探したら良いのよ?
日本翻訳連盟(JTF)のホームページから翻訳会社を検索できますよ。
ただし、翻訳会社のホームページでは「実務経験者」を募集していることが多く、「未経験者可」という募集は多くないというのが実情です。
また、大手翻訳会社は案件も多く一見安心そうですが、コスト管理が厳しいため、翻訳単価がむしろ相場より低い場合があるので注意が必要です。
とはいえ、条件が多少希望通りではなくても「実績」としては今後履歴書などに書けるというメリットは大きいので、許容範囲であれば応募してみるという手もありです。
翻訳者ディレクトリの求人から応募する
「翻訳ディレクトリ」は翻訳に特化した求人サイトです。
ここでは翻訳者募集情報(求人情報)を見るだけでなく、翻訳者として登録することで企業からスカウトを受けられます。
また、翻訳会社の一覧を見れたり、翻訳会社を検索で探す事ができて便利です。
ちょっとサイトが古臭いデザインですが、無料で使えて求人掲載数も豊富なので、翻訳者の皆さんは利用されている方が多いようです。
日本翻訳連盟(JTF)の求人から応募する
日本翻訳連盟(JTF)は、翻訳業界の成長と発展を目指す産業翻訳の業界団体です。
翻訳に関わる企業、団体、個人の会員から形成されており、翻訳に関する求人も検索できます。
会員にならなくても無料で検索できますが、有料会員(個人会員は入会費・年会費各10,000円)になると、「翻訳者リスト」に登録でき、企業からのスカウトや案件の紹介がもらえる可能性があります。
JTFでは毎年「JTF翻訳祭」を開催しており、翻訳者の方はセミナーや講演会に参加したり、企業と交流を持つことができ、人脈形成ができるのでぜひチェックしてみてください。
ちなみにJTF会員になればこれら翻訳祭やセミナー、講演会の参加費に会員料金が適用されてお得に参加できますよ。
日本翻訳者協会(JAT)の会員限定求人から応募する
日本翻訳者協会(Japan Association of Translators)は、翻訳者同士の情報交換や品質の向上を目的に設立された協会です。
有料会員として登録すると、会員限定求人募集ページへアクセスできるようになります。
有料会員の会費は年10,000円(2年分一括払いは19,000円)です。
また、会員登録すると「JAT会員名簿」に掲載され、企業からのスカウトや案件の紹介をもらえる可能性があります。
この会員名簿では自由に編集できる専用のプロフィールページを持つことができ、履歴書を記載したり、ブログへのリンクを貼ることも可能です。
Translators Cafeの求人から応募する
Translators Cafeは翻訳者や通訳者、翻訳エージェントをつなぐネットワークを提供するサービスです。
翻訳案件の検索や、翻訳会社などのエージェント検索、用語集の検索や翻訳者同士の情報交換など、翻訳者をサポートする充実したコミュニティが無料で利用できます。
「Master Membership」という有料会員になると、案件の優先的な紹介や、有料会員限定の案件紹介など、より案件を受注できる可能性が高まります。
気になる会費ですが、公式サイト上に情報の記載がありませんでした。
興味のある方はホームページより問い合わせてみて下さい。
アメリアの求人から応募する
アメリアは翻訳者を目指す人と、翻訳者を必要とする企業をマッチングする有料会員向けのサービスで、翻訳に特化した求人を検索できます。
案件をオファーする協力企業は600社以上、年間の求人情報は1,500件以上で「未経験者可」案件が多いのも特徴です。
会費は下記のとおりです。
入会金 5,500円(税抜 5,000円)
年会費 16,500円(税抜 15,000円)
アメリアでは、求人情報をみて自分から応募する方法と、プロフィールを公開して企業からのスカウトを待つという2つの方法で仕事を獲得できます。
会員特典の1つとして、新人翻訳者の悩みである「実務経験が無いので応募できない」という問題を解決する「クラウン会員制度」を利用できます。
以下のような条件をクリアすることで「クラウン会員」になれます。
アメリアが主催する「定例トライアル」でAAを1回取得、もしくは同分野で12ヶ月以内にAを2回取得
「翻訳トライアスロン」で96点以上を取得
クラウン会員は「実際の仕事で通用するレベル」の実力を証明するもので、企業からのオファーも受けやすくなります。
会員専用の掲示板もあり、翻訳者同士の意見交換など、コミュニティへの参加も可能です。
翻訳トライアル応募時の注意点
翻訳トライアルに応募する際の注意点について解説していきます。
▲気になる箇所にジャンプできます。
「募集要項」の記載内容をしっかり確認しよう
トライアルに応募する際に、応募する翻訳会社の「募集要項」をしっかり確認するようにしましょう。
募集要項には募集している「分野」や「言語方向」、「求める必須の条件」、「あると歓迎な条件」「勤務条件(在宅やオフィス勤務など)」「応募方法」などが書かれています。
例えば募集が「英語→日本語」への翻訳なのに、「対応可能言語は日本語→英語です!」とアピールしてしまったり、「英語力はTOEIC850点以上」とされているのに「TOEIC820点」と記載していたり・・こんなことがあると、まず書類審査は通りません。
そんなことあるの?って思いますけど、結構あるんです・・。
募集要項を読まない、守らない人は、実案件でもクライアントや翻訳会社からの指示やスタイルガイドを守らない人と見なされてしまうので、募集要項の記載内容は必ず一社一社すべて確認してから応募するようにしましょう。
応募分野に関連する職歴などは詳しく記載しよう
募集している分野に関する専門性があるとトライアルには有利です。
例えば医薬分野へ応募する際などに「医療機関での勤務経験がある」など、関連する職歴がある場合はは詳しく記入しましょう。
具体的に、どんな部署でどんな業務をしていたか、英語の使用経験の有無、など詳細に記載しましょう。
関連する分野での勤務経験がない場合はどうしたらいいの?
勤務経験がなくても自身の得意分野があれば記載しましょう。
得意であることを裏付けられる情報は忘れずに記載してください(大学時代に該当分野の研究をしていた、など)。
もしスクールなどに通った経験があるなら、それも忘れずに記載してください。
語学力は詳細にアピールしよう
企業によっては「TOEIC何点以上」など、募集要項に盛り込まれている場合があります。
TOEICや英検など、ご自分の英語力を数値で表せるスコアを持っている場合は詳しく記載しましょう。
ただし、スコア=翻訳能力ではないということは翻訳会社もよくわかっていますので、スコアはあくまでも「自身の英語力を証明する材料の一つ」と考えましょう。
希望条件は忘れずに記載しよう
翻訳会社の条件を確認するのはもちろんですが、あなた自身の希望条件も伝えることを忘れないようにしましょう。
- 希望単価
- 勤務条件(在宅、オフィス勤務など)
- 勤務時間(平日のみ稼働可能など)
- 対応可能言語
- キャパシティ(1日の処理量)
- 使用できるツール など
翻訳トライアル合格後、実案件受託の流れ
見事翻訳トライアルに合格したあとは、どんな流れで実案件をやることになるの?
一般的な流れは下記のとおりです。
翻訳会社の翻訳コーディネーターが、メールまたは電話で案件の相談連絡がきます。
基本的には案件発生ベースで連絡が来ることになるので、合格したからといってすぐに実案件の打診があるわけではありません。
原稿内容や分量、納期、参考資料や作業指示を確認します。
問題がなければ引き受け可能の連絡を翻訳コーディネーターに返信します。
受託可能である連絡をすると、翻訳コーディネーターから受託のお礼と、案件のご依頼金額や納期などが記載された「発注書」が送付されます。
内容に間違いがなければ翻訳作業を開始しましょう。
発注書を受け取る前に作業を開始するのはNGです。
基本的には発注書を受け取った時点で契約が成立となりますので、先走って翻訳を進めたあとで翻訳会社から「案件はキャンセルになりました」なんて連絡があると、作業した分がタダ働きになってしまいます。
翻訳コーディネーターにもしっかりした人とそうでない人がいます。いつまでも発注書を送ってくれない場合はこちらから確認の連絡をして、発注書をちゃんと受け取ってから作業を開始するようにしましょう。
翻訳後は納品前に必ず見直しをしましょう。
誤訳、訳抜け、誤字、脱字などのケアレスミスがないか、文章として読みづらい、不自然な箇所はないかなど徹底的に確認します。
ミスが多いと翻訳会社との信頼関係に関わり、次回以降案件をもらえるかどうかに影響してしまいます。
納品ファイル送付時にも宛先は間違えていないか、納品方法に特別な指定はないか(パスワード指定や、指定のサーバーへのアップロードなど)、添付ファイルは間違えていないか(たまに翻訳前の原稿や、作業途中のファイルを送ってくる翻訳者さんもいます・・。)確認を怠らないようにしましょう。
場合によっては納品後にフィードバックをもらうことがあります。
必要に応じて対応しましょう。
フィードバックはソースクライアントから指摘などをもらう場合と、翻訳会社で気づいた点をフィードバックされる場合とがあります。
訳抜けなど翻訳者側のエラーの指摘である場合はなるべく迅速に対応し再納品するようにしましょう。
翻訳トライアルに関するQ&A
ここからは翻訳トライアルについて、気になるQ&Aをまとめました。
- 不合格になったら時間をあけて再挑戦できるの?
-
通常1年程度など、しばらく間を空ければ再挑戦できる会社が多いです。
くん太翻訳の実力は短期間でアップするものではないのですぐには再挑戦できないんですね。
- トライアル課題の内容について質問してもいいの?
-
課題の内容についてはNGです。
- 内容について、申し送りコメントを残すのはOK?
-
OKです。ただしコメントだらけにならないように本当に必要な申し送りだけ残すようにしましょう。
NGなコメント例
- ◯◯と訳しましたが問題ありませんでしょうか?
- 〜と判断いたしましたが、念の為ご確認ください
- 不合格になった理由を聞いても大丈夫?
-
基本的にNGです。「詳細はお伝えできません」と言われることが多いでしょう。
- TOEICスコアは必要?
-
企業によっては何点以上と指定されていることもあります。募集要項を確認しましょう。
- 希望職種以外の仕事(校正者やポストエディターなど)をオファーされたら?
-
翻訳者としては不合格だったけど、今後の実力アップに期待されている可能性があります。オファーを受けることが今後の自分の実績や実力アップにつながるのか冷静に分析して判断しましょう。
まとめ
翻訳トライアルの合格は最終のゴールではなく、プロの翻訳者としてのスタートです。
自分のいまの実力と、求められているスキルをしっかり分析しトライアルに挑みましょう。
翻訳者に求められるスキル
- 語学力
- 専門性
- リサーチ力
- PCスキル
- CATツールなどへの対応力
あなたの翻訳トライアル合格のために少しでも参考になれば幸いです。
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