- 語学に興味がある
- 語学を活かした仕事がしたい
- ゆくゆくは翻訳者を目指したい
- 翻訳コーディネーターってどんな仕事なんだろう?
- 翻訳コーディネーターに興味はあるけど向いていなかったらどうしよう?
翻訳コーディネーターという仕事に興味を持つ人は、こんな風に考えている人が多いのではないでしょうか。
ただ、ニッチな業界なので情報が少なく、翻訳コーディネーターがどんな仕事なのかイマイチよくわかりませんよね。
この記事を読むとこんなことがわかります。
- 翻訳コーディネーターがどんな仕事なのかわかる
翻訳会社でコーディネーターとして10年以上勤務した僕が、仕事内容について詳しく解説していきます。
翻訳コーディネーターは僕のように、過去に語学を活かして働いた実務経験などがなくても働けます。
むしろ語学とは関係ないさまざまな業界から転職してくる人がほとんどで、「前職も翻訳コーディネーターでした」という人はほとんどいません。
未経験でも挑戦できるお仕事です!
自分が翻訳コーディネーターに向いてるかどうかも知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
くん太
- 北海道から上京し、都内某翻訳会社で翻訳コーディネーターとして10年勤務
- 現在はWebライターとして活動中
翻訳コーディネーターの仕事内容
翻訳コーディネーターはクライアントから翻訳依頼を受け、その原稿内容に合った翻訳者に依頼、成果物をクライアントに納品します。
クライアントの望む翻訳を仕上げるために、適切な翻訳者を選定し、案件にあった工程を組み、その進行を管理するというのが主な仕事内容です。
翻訳コーディネーターの仕事の流れは簡単に言うと、こんな感じです。
- ソースクライアントから翻訳の依頼を受ける
- 原稿内容とソースクライアントの希望する翻訳仕様を確認する
- 案件にマッチする翻訳者を選定して打診・アサインする
- 翻訳者から納品された翻訳物を検品する
- メールでソースクライアントに納品する
これだけ見ると簡単そうですが、翻訳コーディネーターは翻訳物の品質を左右する重要な仕事です。
翻訳する文書や分野に関する知識が必要だったり、登録翻訳者の特徴や得意分野などを把握したり、クライアントや自社の営業さんとの密なコミュニケーションを求められたりと、必要な知識や能力が多岐にわたる、なかなかの激務です。
とくに一人でさまざまな業務を同時にこなす「マルチタスク」の能力が求められ、頭の中で常に何を優先するのか考えながらスピーディーに、かつ丁寧に仕事をこなしていく必要があります。
翻訳コーディネーターを簡単に表現すると
- 翻訳の品質を握るキーパーソン
- 入り口から出口までを管理するプロジェクトマネージャー
といえます。
一つずつ解説していきますね。
翻訳の品質を握るキーパーソン
翻訳コーディネーターはクライアントの要望を詳細に確認し、それを実現するために最も適任な翻訳者を選定して依頼します。
その役割はまさに「翻訳の品質を握るキーパーソン」。
翻訳コーディネーターは翻訳者にただ原稿を渡すのではなく、顧客の要望を実現するために適切に指示出しを行います。
一口に「翻訳依頼」といっても、クライアントの要望は実にさまざまです。
- 分野の専門性がある翻訳者に翻訳をしてほしい
- とにかく急いでいるので、品質を多少落としても超特急で仕上げてほしい
- 非常に重要な文章なので、納期は多少かかっても良いから高品質に仕上げてほしい など
品質・納期・コスト・用途等など、なにを重視するのかによって、納品までの工程が変わってきます。
クライアントの要望に沿った翻訳物に仕上げられるかどうかは、翻訳コーディネーターの腕次第なのです。
入り口から出口までを管理するプロジェクトマネージャー
翻訳コーディネーターはクライアントからの引き合いから納品まで、工程のすべてを管理するプロジェクトマネージャーです。
クライアントからの引き合いはメールでいただくことが多く、依頼内容の確認などはコーディネーターが直接クライアントとやり取りをすることもあります。
営業さんが見積もりを作成する場合でも、クライアントの希望にあった仕様や工程設計、仕入れ金額の算出などはやはりコーディネーターが詳しいので、コーディネーターが深く関わることになります。
そして設計した工程通りにプロジェクトが進行しているかを管理し、クライアントの希望通りの翻訳に仕上げて納品を行います。
そのため、翻訳コーディネーターが管理することは多岐に渡ります。
- クライアントの要望
- 翻訳の仕様
- 翻訳の工程設計
- 翻訳者など、プロジェクトに関わる作業者の選定
- スケジュール管理
- 売上・粗利の管理など
翻訳コーディネーターについてよく聞かれる5つの質問
僕はこれまで、コーディネーターチームの管理者として採用活動にも関わらせていただき、現場採用担当として70人以上の面接に参加してきました。
その中でよく応募者から質問を受ける翻訳コーディネーターへの6つの疑問についてお答えしていきます。
▲気になる箇所にジャンプできます。
語学力は必要?
翻訳会社のコーディネーターということで、語学力が必須と思われている人が多いようです。
確かに、英語の文書を取り扱うことが多いので英語を読めるのに越したことはありません。
ただし、必須ではありません。
翻訳会社にもよりますが、少なくとも僕の所属する会社では翻訳コーディネーターが自分で「翻訳」をしたり、翻訳文を「校正」したりすることはありません。
そういった専門知識を要する作業はあくまで専門の「翻訳者」や「校正者」にやってもらうからです。
原稿の内容確認などで英語の文章に触れる機会は多いので、「英語は見るのも嫌」という英語アレルギーの人はちょっとツライかもしれませんね。
残業は多い?
これも会社によりますが参考として、僕の勤務していた会社では大体20〜40時間程度でした。
年末や年度末などの繁忙期になるとやはり残業は増えて、時には40時間程度になってしまうことがありますが、落ち着いている時期は20時間以下など繁閑の差は激しいかもしれません。
クライアントありきの仕事ですので、夕方に急ぎの依頼が発生したりすると残業になってしまうことが多いです。
どんなところが大変?
- 翻訳者が見つからない!
大量の原稿をいただき、急ぎで翻訳しなくてはならない!だけど対応できる翻訳者が見つからない!
繁忙期でどの翻訳者も予定が埋まっている!
など、翻訳者がなかなか見つからず焦ってしまうことがあります。
そんなときは先輩コーディネーターに、他に対応できそうな翻訳者がいないか聞いたり、本当にどうしようもない場合はクライアントにお詫びをして納期を交渉することもあります。
- スケジュール管理が大変
翻訳コーディネーターは複数の翻訳プロジェクトを同時進行で管理しています。
翻訳者から訳文が納品されてくるのはいつなのか、クライアントへの納品は何日の何時までなのかなど、スケジュール管理をしっかりやらないと納品漏れや遅延などの事故につながってしまいます。
繁忙期ともなると抱えている案件の数も多くなるので、事故が起こらないようにこれら複数のスケジュール管理をするのが重要かつ大変なポイントです。
どんな人が働いている?
翻訳コーディネーターは女性が多い印象です。僕の職場では翻訳コーディネーターは7割が女性です。
業界未経験で応募される人が多いので、よくこんな質問をされます。
翻訳コーディネーターとして働いている人はみんな業界のバックグラウンドや、英語圏での生活経験などがあったりするんですか?
僕もそうですが、翻訳コーディネーターとして働いている人はみんな大体全く関係のない異業種から入ってきています。
ニッチな業界なので、「前職もコーディネーターとして働いていました!」という人のほうが少ないです。(というかほとんどそんな人はいないです)
在宅勤務?
これは会社の方針によりますが、業務内容としては在宅勤務でも全く問題ありません。
僕の所属する会社では、コロナの緊急事態宣言下では週5日完全フル在宅勤務でした。
緊急事態宣言が明けても、週に3回は在宅勤務をするなど、在宅勤務しやすい仕事といえます。
離職率は高いの?
翻訳コーディネーターの求人情報は年中見かけるので、「この仕事って離職率高いのかな?ブラックなの?」と心配になる方もいるかもしれません。
これについては会社によるかと思いますが、少なくとも僕の務めている翻訳会社はブラック企業ではなく、むしろ結構なホワイト企業です。
ただ、離職率は高いです。
仕事は確かにかなり多忙ですが、語学が好きな人にはそれほど苦にならない仕事ではないかと思っています。
ただ、女性の比率が高いので結婚や妊娠を理由に退職したり、休職したりすることが多く、人の出入りはかなり激しい印象です。
また、語学が好きで翻訳者を目指しているという方も多く、翻訳コーディネーターを一定期間経験して翻訳者に挑戦するために辞めていくという人もいます。
そういった語学好きの人は人付き合いが苦手な人も多く、黙々と仕事をこなす翻訳コーディネーターは向いてると思いますが、上り詰めて管理職になると顧客とのやりとりなど営業的な仕事も増えていくため、それを嫌って去っていく人もいます。
まとめ
翻訳コーディネーターは、翻訳物の品質を直接左右する重要なポジションであり、翻訳プロジェクトの入り口から出口まで全体を管理するプロジェクトマネージャーです。
特に高い英語力や、英語を使って勤務していたという実績がなくてもなれる仕事なので、未経験でも始めやすく、語学に興味がある人にはおすすめの仕事です。
また、中には翻訳コーディネーターとして働きながら翻訳の勉強をして、翻訳者へ転向していく人も多くいます。
おもしろそうだな、と思った人はぜひ挑戦してみてください。
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